コラム


沖縄空手道無想会の会長である、新垣清最高師範の2010年7月のコラムです。
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沖縄空手道

無 想 会



独立記念日


  来週末にカナダのアルバータで、第五回目のカナダ・セミナーが始まります。
  今回はいつもどおりに成人部は勿論のこと、少年部も指導することになりました。
  セミナーの指導者への盾や、免状などもこちらが用意して行くので、なんだかんだと忙しいです。
  今回はカナダからは無論のこと、日本から札幌同好会副代表の大山氏もわざわざ出席するので、やはりそれなりに自分の教えることを明確にしなければならないのでちょっと頑張っています。自分の稽古としては基礎体力に重点を置いたものから、形や基本稽古に移行しています。さらに一日6時間ほど目一杯動けるようにと、持久力中心になっていきます。

  さてそれらの準備と平行して、ここアメリカは今独立記念日で月曜日が休みなので、土・日・月の三日間を利用して「空手の歴史(仮題)」の原稿をシャカリキに書いています。
  このセミナー以前に仕上げるのが目標だったのですが、無理なので夏が終わるまでにと思っています。でも怠け者のわたしのことですから、夏が終わった時点で今度は今年一杯には仕上げるぞ! などと言っているはずです。
  
  さて生徒に教授している棒の形が、一応は様(サマ)になってきています。ともかく「神速」というのが首里手の特徴なので早く、速く棒を振らすことに専念しつつ、ナイファンチとその応用の立ち方を常に保って正中線・演武線の確認をさせています。
  まだまだですが、一応は棒と正中線の関係を少しずつは理解してきてはいます。棒は手の延長とはいっても、やはり器具・道具ですのでそれなりの慣れが必要です。でも棒を持つと、自分の身体感覚がディフォルメされるので目的意識さえハッキリ持てば、正中線の明確な認識が素手の形以上に出来るようになります。

  道場の稽古では、上級者は基本動作が終わればすぐ棒の形に移りますが、時間がすぐに経ってしまい教えたいことの十分の一も出来ません。まあ、今年一杯は棒の形ひとつを習得させることに費やす覚悟です。
  本部道場の生徒だけでは無く、いつかセミナーで古武道まで教授できる段階まで受講者の技量が高められたら良いな、というのが今のところ淡い望みです。

  

  2010年7月4日
    


一応・大成功?!


  一昨日、カナダから帰ってきました。
  おかげさまでカナダのセミナーは、一応「大」の字をつけても良いほどの成功だと思います。
  ともかく札幌同好会からわざわざ大山副代表が出席するので、それだけの価値のあるものが出来るかどうか、やや不安もありました。しかし蓋を開けてみると、出席者全員が大満足をしてくれました。

  初日は、まず二時間ほど児童部のセミナーでした。
  これは今回が初めてでしたが、本部道場で多くの子供たちに教えているものと同じことをやりました。セミナー終わるころになると、「もっと、続けて」とせがまれるほど好評でした。
  まあ子供はあまりお世辞を言わないので、これは額面通りに受け止めて言いかと思っています。
  わたし自身が精神年齢が低く子供みたいなので、わたしが喜ぶ方法で子供を教えると割と上手くいきます。精神年齢が低いということが、ここでは有利に働くのです(?)。

  初日の正午から四時まで、それから翌朝九時から四時までが大人のセミナーを指導しました。
  まず自分の突きと蹴りを見せて、理論を説明します。その後に、指導に入ります。まあ、わたしの突き蹴りを目の前でやってみせると、どんな人間でも一応は納得はしてくれます。

  でも、いままで使ったことの無い筋肉、今まで存在することさえ知らなかった筋肉を、いままでやったことの無い方法で使用させるので、受講者は大変に驚いたようです。でもやっている本人の突き蹴りが、大げさに言えば二倍の速さになるので、みんな熱心についてきてくれます。

  今回で4回目のカナダ・セミナーですし、ユタ州の本部道場でも数回セミナーもやっているので、もうわたしから直接5,6回も受講している人間もいます。でも、今回がまったくの、初めての人間もいます。
  しかしわたしの方もレベルの違う多数の人間を、同時期に教えることにも少しは慣れてきているので順調にセミナーは進んでいきました。
  ただ受講者の3倍以上わたしが動いて身体操作を見せ、技を見せ、そして受講者相手にやってみせなけば為らないのでそれなりに疲れます。
  
  今回は、チョッとしたアクシデントがありました。
  
  突きの時の腕の有り方は「茶巾絞り」の要領でと、説明する時に棒を振って説明しました。でも、その時に一振りした棒が空中で折れてしまったのです。
  今年になって棒を折ったのは、これで二度目です。でも今回は、回りに人が居たので少しあせりました。
  周りの人間はビックリして目を皿のように見開いていましたが、この棒はわたしを招いてくれた主催者の持ち物だったのでわたしの方も大慌て・・・。平謝りに、謝りました。
  幸い振った方角が受講者たちとは逆の方角でしたので誰も怪我をせず、わたしの手の皮が少しすりむけた程度ですみました。ただ後でシャワーを浴びた時に、左のわき腹に少し擦り傷があるのを発見しました。

  初日が終わるころにはわたしは汗びっしょり、受講者は腰と脚(特に大腿四頭筋)、それに広背筋がパンパンに張って歩くのも億劫になります。
  翌日来てくれるかどうか心配でしたが、全員出席してくれました(一人警察官が職務でこれませんでしたが、この人は月曜日に勤務明けの時に、わざわざお礼の電話を掛けてきてくれました)。

  昨日のセミナーを受けた所為で今朝は「階段が上れ無い」、または「降りられない」。「椅子から立ち上がれなかった」などとセミナーが始まる前に、受講者が笑いながらこちらに話しかけてきます。
  まあ予期していたことなので、「オオッー、大変だったね。でも今日も頑張ろうね」などと笑顔で返しますが、じつは教えるわたしの方もボロボロです。
  
  教える方も受講する側も、身体は疲れているけど、心は晴れ晴れ(?)という理想的な状態で二日目に入ります。

  
  この稿つづく


  2010年7月14日



一応・大成功?! その2


  さて、2日目が始まりました。

  昨日と同じく、主催者が先頭に立って受講者全員で入念に準備運動をします。
  その間、わたしは後ろに立って自分の準備運動をしながら、受講者の身体の動きを確認します。やっぱり動きを見ると疲れている人が居るので、それを考慮しなければなりません。

  昨日の復習として、前蹴上げや横蹴上げなどをやります(これも、通常の方法とはまったく違います。なおセミナーの技術解説は、大山氏が月刊「空手道」へ送っています。それを、参考にしてください。)。

  ボール投げを主催者に任せて、わたしはこれまで5,6回受講している人間を相手にナイファンチの確認とその分解です。

  わたしが沖縄での修行時代は「形の分解は、形の意味が分からない人間への方便である」という意味なことを言われました。今でも、わたしはそう思っています。でも、まだまだこの段階では手取り、足取りで教えてあげないと異文化の彼らには難しいのです。
  
  いや、異文化の彼らだけでは無く、もう現代の日本・沖縄の空手修行者にも無理なのです。それは個人の才能や努力などという問題では無く、武術的な思考を理解できない現代のわれわれには、体系立った論理的な方法でなければ理解できないからです。

  そのために、ナイファンチの形の分解をチャンと教えます。

  セミナー受講が1,2回目の人間を相手にした場合は、もう理論から何から自分の身体で示してあげないといけないので大変です。しかし彼らは5,6回受講している人間たちですから、出来る出来ないは別としてわたしの考えはチャンと理解してくれます。
  ただ対人となると悪い癖などが出ますから、それをチェックします。「形の通りにやれば良いだけだよ」と言っても、やはり相手が居ると違ってきます。でも、これは数稽古で克服できる問題ですので、あとは個人の努力です。

  その後にまた全員を相手に汗を掻きながら教えていると、時間がパッと経ってしまいます。札幌からわざわざ来てくれた大山氏に知らせてくれるよう事前に頼んであったので、潮時になると「師範、時間です」と休憩時間を知らせてくれます。
  
  その休息の間に、わたしと大山氏は札幌同好会のための動画撮りをします。今回は、平安の参段の分解まで収録しました。これで、彼らもまた一段と頑張ってくれると思います。
  休息後に裏拳などの方法を指導しますが、またまた時間がすぐ経ってしまいます。

  今回は初心者はナイファンチの形まで教えることは不可能でしたが、古伝の沖縄空手(首里手)の理論と身体操作は各個人が理解できたのは確認できました。

  最期にわたしがナイファンチの形を中級、上級者の方法別で一度づつ行いました。中級者用に、ゆっくりとナイファンチをやると全身の筋肉が悲鳴を上げます。でも、もう全員が形の意味とその違いを理解したようです。  

  その後に認定書の授与や記念品の贈呈などが終わり、全員で記念撮影をしてセミナーは無事終了。

  皆さん、ありがとう、そしてお疲れさまでした。




  2010年7月15日


セミナー原稿



  2,3日前にカナダ・セミナーに参加してくれた、札幌同好会・副代表の大山氏がセミナーの原稿を仕上げてくれました。
  ご苦労さまでした。
  彼はセミナーでは自身が参加して実技をこなすと同時に、写真も千枚ほど撮影しています。今回の写真撮影の総計は、主催者側のと合わせてなんと千五百枚ほどになります。
  彼の原稿や写真は月刊「空手道」に送りましたが、採用掲載になったら良いなと思っています。今回は初歩の技術的な部分を説明しましたが、詳しい技術論、上達論を今後本や雑誌で段階的に発表する心算です。
  セミナーではわたくしはあっちこっちと動いて忙しいので、大山氏の形をチェックできたのはセミナーが終わった翌日の晩です。

  彼の形をみて、ちょっとビックリしました。

  思っていた以上に、上達していたからです。これはお世辞や、オベンチャラで言っているのではありません。
  手の動きやその位置、腰の位置などまだまだ修正する部分も沢山ありますが、彼らに徹底して教えたナイファンチは一応サマになっているのです。かつ静止状態がサマになっているだけでは無く、動き自体が武術的に正い動きをし始めていました(これがナイファンチの一番重要な部分です。いや! 全ての形の習得にとって一番重要な部分なのです)。
  これには驚くと同時に、嬉しかったです。

  彼は昨年に一週間ほど本部道場で同好会・代表の小平氏と一緒に集中講習を受けただけで、その後は札幌で二人きりで、講習中に映したDVDなどを参考にしながら練習していただけです。それでこれだけやってくれるならば、今後の日本での普及に大きな希望が持てます。

  それと同時に、北海道に無想会空手発芽の種を蒔いてくれた小平代表に感謝の念がふつふつと湧いてきました。
  わたしの本を読んでたった一人で日本から尋ねて来てくれた小平氏の苦労に報うためにも、北海道で無想会の根を深く大きく張らして、大きな樹に育て上げたいと思っています。

  この9月下旬にまた小平代表、そして大山副代表が一週間の集中講習を受けに本部道場に来ます。彼らの頑張りに負けないように、わたくしもチャンと修行しなければなりません。
  さらに11月6,7日に、今度はアメリカ、カナダの修行者を対象にしたセミナーが開催されます。このセミナーにはもう合計6,7回も出席する修行者も居ますので、そろそろ中級レベルの事柄を教えることが出来るので楽しみです。

  来年には日本国内において始めての札幌セミナーを開催することが内定していますので、それの準備もそろそろ始めなければなりせん。  
  今のわたしのようにダラダラと飲んだくれている場合では無いのですが、まあ、ゆっくりとマイペースで行きます。



  2010年7月24日